~千沙side~

あたしを乗せた車は数十分ほど走った所で止まった。


口をふさいでいた手は離れていたけれど、代わりに両手を後ろで紐状のもので拘束されてしまった。


昔から大志たちを見てきたけれど、ここまでする連中には初めてであった。


緊張で手のひらに汗がにじむ中、どこか冷静な自分がそんなこと考えていた。


これなら、最近の大志の不可思議な言動にも納得がいく。


とにかく、今のあたしはこの何者かわからない連中に逆らわないことが、一番だった。