全く、誰がぶつかってきたのよ!?


そう思って振り向く間もなく、あたしの視界は布状のものによって塞がれてしまった。


「きゃ……」


悲鳴をあげる声も口を誰かの手によって塞がれ、途中でむなしく消えていく。


そのまま、軽々とあたしの体は抱え上げられ、柔らかなクッションの上に座らされた。


なにが起こっているのか、わからない。


ただただ、恐怖で身がすくむ。


バンッ!


と、車のドアを閉めるような音が聞こえて、あたしはハッと気がついた。