大志はがっしりとした体つきに、右頬に刃物で傷つけられたような、昔の傷痕があった。


でも、傷なんて気にならないくらいに整った顔をしていて美青年という言葉が似合っている。


整理整頓された部屋で最後の休日をだらだらと過ごすのには、あたしたち、2人ともそれなりの理由があった。


あたしは母親が商店街で1泊2日の旅行券を当てた。


昔から仲の良さの変わらない両親なので、そのチケットを握りしめ、娘を1人置いて当たり前みたに旅行へ行ってしまったんだ。