「あたしが、自分で気づかないといけない隠し事……?」


その難問に、あたしは思わずうめき声を上げる。


帰る途中の生徒たちが、何事かとこちらに視線を向けた。


「ま、千沙だっていつか気がつくわよ」


「今、気づきたいのに」


「焦りは禁物! 気がついたときが、一番いいタイミングなんだから」


そう言って、恋羽は今度はウインクをしてみせた。


なんだかよくわからないけれど、あたしはまだ【気がつくタイミング】じゃぁ、ないらしい。


結局、モヤモヤした気持ちのまま、帰ることになったのだった。