あたしは、かばんを持って立ちあがりながらそう言った。


しかし恋羽は何も返事をせずに、肩をすくめてみせた。


この前から、アツシと恋羽はあたしを見てクスクス笑う時がある。


あたしがどうして笑っているか聞いても、2人ともその理由を教えてはくれないのだ。


「恋羽、あたしに何か隠し事をしているの?」


教室を出ながらそう聞くと、恋羽は驚いたようにあたしを見つめた。


「隠し事……まぁ、そう言えばそうなるのかな? でも、これは千沙が自分で気がつかなきゃいけない事だと思う。


だから、あたしの口から、隠し事を伝えることはできないよ?」