~千沙side~

アツシが教室でこっそりつぶやいた通り、あたしの風邪は5日たっても治らなかった。


「明日、集会なのになぁ……」


放課後の教室、自分の机に座ったまま胸に手を当てて、ため息を吐き出す。


いまだに、大志を見るとドキドキするし、大志の声をきくと顔が熱くほてってくる。


「ま、集会までには治らないだろうね」


恋羽が、帰る準備をしてあたしの机の前まで来て、そう言った。


「やっぱり、アツシから薬をもらっておけばよかった」


「風邪じゃないから無駄よ。無駄」


「風邪じゃないなら、一体なによ?」