傷だらけ、という言葉に当てはまらないほどの、おびただしい数の傷跡。
その中でもひときわ目立つ、背中の斜めに入った傷。
右肩から左足への傷だ。
俺はそれをそっとなでながら、瑠璃に聞いた。
海で聞かないでと言われたこと。
いまなら、聞いてもいいよな…?
「…瑠璃、この傷は…」
「それは、初めてあたしが仕事に失敗したときの傷。
殺そうとして、逆に殺されかけた。
…だから嫌だったの。
醜いでしょ?その傷跡は。」
「…そんなことない。」
俺は優しく傷跡をなぞった。
「傷が沢山あれば、その分俺が癒せるだろ?」
「フフッ、なによそれ。」
俺は、その傷口ひとつひとつを優しく舐めていった。
「…痛む?」
「昔の傷跡だよ。
今はくすぐったい。」
「…そっか」
良かった。
今でも瑠璃を傷つけていたら、俺はあのクソ野郎をブン殴らないと気がすまなくなる。
「瑠璃、愛してるよ。」
俺はそう言い、瑠璃の髪を耳にかける。
「静…あたしも、愛してる。」
そう言って、俺達は体を重ね合った。


