ガラッ







静))「…瑠璃…」





この声、静だ。




〈静、ごめんなさい。〉





声に出して謝りたいのに。






〈静、あたし起きてるよ〉





ちゃんと伝えたいのに






どうして、伝わらないのかなぁ。








静))「あのな…今日な、イザヤがさぁ…

ケーキ食おうとしたんだよ。


だけどな、アイツ馬鹿だから、甘いもん苦手なの忘れてて、ほんとに食っちゃったよ


な?嫌いなもん食うとか、馬鹿すぎんだろ?



まぁ、それもオマエのせいなんだけどな。」




あたしのせい?



どういうこと?







瞬間、あたしの手は暖かい大きいものに包まれた。





これ、静の手?








「はやく、戻ってこいよ…!


なんで、なんでおまえは…!」






その声が震えていて。







あたしが涙を拭いてあげたいのに、ソレも出来ない。





体を動かすことも、その手を強く握り返すことも出来ない。





嫌だ。





そんなの、いやだよ。






あたしの瞳に、熱がこもった。