───瑠璃side
随分と、歩いた気がする。
ふと気づいて後ろを向いても、そこにあるのはただただ白一色だった。
『あーあ、結局地獄は見当たらないか…』
どこにあるんだろう?
《…り、瑠璃。》
あれ、だれかに呼ばれてる。
『なに?』
《生きている。
瑠璃は生きている。
嘘じゃないよ、胸に手を当ててごらん。》
…あれ、この声…
『また、あったね、お母さん。』
《あなたは死んでなんかいない。
簡単に自分を殺さないで。》
『お母さん…』
《…ほら、胸に手を当てて。》
言われたとおりにすると、心地よい心音が、規則正しくトクットクッ、と脈打っていた。
『ほんとだ…』
《でしょう?
わたしはここまでしかお手伝いできないけど、
あとは瑠璃、あなたががんばるのよ!》
そういってお母さんは、あたしの後ろを指さした。
《ほら…お行き。》


