色町side
「妖怪ですか?」
周りには聞こえないくらいの声で色町は灯に聞いた。
「えぇ。しかも妖力が非常に強い。早く対処しないと…」
淡々と答えながら足を早めた。
「場所は?」
小走りになりながらもついていく。
「…多分、屋上です」
「屋上…あそこは立ち入り禁止。居るとしても鳩か悪い生徒ですね」
「えぇ」
話している間に屋上の扉の前まで来た。
「…妖力がここからでも感じられる…」
そういいながら私は自らの姿を変えた。
耳の形が変わり、尻尾が生え、牙と指先が鋭くなる。
そう、正にその姿は猫。江戸時代に生きた遊女であり猫神であった色町鈴、本来の姿だった。
「開けますよ…」
気づけば灯の姿も変わっていた。白と黒の着物に身を包み、牙と指先と耳が鋭く、頭には二本の角。その姿は正に鬼だった。
「はい…っ」
色町が言葉を返し、直ぐに二人で屋上へ飛び出した。
20分ほど経っただろうか。
目の前には戦うことができないほどに傷を負った妖怪。そして地獄の補佐官でありこの世の送り屋であるお菊がいた。
「お菊さん、よろしくお願いしますね」
送り屋。世間一般的にはお坊さんや葬儀屋のような存在だ。
違う点といえば、送り屋は地獄に妖怪や亡者を連れていけるということ。それくらいだ。普段は普通に葬儀の仕事もしている。
「はい!…にしても、二人ともお似合いですね、いつ見ても」
ニヤケながらお菊が言った
違うのに、恥ずかしいのと嬉しさで顔が赤くなる
「ありがとうございます。ですが残念ながら今は生徒と教師なので。…おや?鈴さん、顔が赤いようですが…」
からかっているのかそれとも素なのか。なんにせよ顔を覗き込むという行為は灯がやるとどんな女でも落ちる。
「っ…なってません!!」
恥ずかしさで思わず灯を叩いた。
しかしいつものことなので灯は気にしていない。
「はははっ、では、私はこれで」
一番の原因であるお菊がそそくさと帰って行った。
「あっ…!」
気づいて声を上げた頃にはもう遅く、そこはいつもの屋上だった。
私にとってお菊は唯一の友達。
…もうすこし話したかったな…。
しかし仕方ないので帰り支度を始めた。
「妖怪ですか?」
周りには聞こえないくらいの声で色町は灯に聞いた。
「えぇ。しかも妖力が非常に強い。早く対処しないと…」
淡々と答えながら足を早めた。
「場所は?」
小走りになりながらもついていく。
「…多分、屋上です」
「屋上…あそこは立ち入り禁止。居るとしても鳩か悪い生徒ですね」
「えぇ」
話している間に屋上の扉の前まで来た。
「…妖力がここからでも感じられる…」
そういいながら私は自らの姿を変えた。
耳の形が変わり、尻尾が生え、牙と指先が鋭くなる。
そう、正にその姿は猫。江戸時代に生きた遊女であり猫神であった色町鈴、本来の姿だった。
「開けますよ…」
気づけば灯の姿も変わっていた。白と黒の着物に身を包み、牙と指先と耳が鋭く、頭には二本の角。その姿は正に鬼だった。
「はい…っ」
色町が言葉を返し、直ぐに二人で屋上へ飛び出した。
20分ほど経っただろうか。
目の前には戦うことができないほどに傷を負った妖怪。そして地獄の補佐官でありこの世の送り屋であるお菊がいた。
「お菊さん、よろしくお願いしますね」
送り屋。世間一般的にはお坊さんや葬儀屋のような存在だ。
違う点といえば、送り屋は地獄に妖怪や亡者を連れていけるということ。それくらいだ。普段は普通に葬儀の仕事もしている。
「はい!…にしても、二人ともお似合いですね、いつ見ても」
ニヤケながらお菊が言った
違うのに、恥ずかしいのと嬉しさで顔が赤くなる
「ありがとうございます。ですが残念ながら今は生徒と教師なので。…おや?鈴さん、顔が赤いようですが…」
からかっているのかそれとも素なのか。なんにせよ顔を覗き込むという行為は灯がやるとどんな女でも落ちる。
「っ…なってません!!」
恥ずかしさで思わず灯を叩いた。
しかしいつものことなので灯は気にしていない。
「はははっ、では、私はこれで」
一番の原因であるお菊がそそくさと帰って行った。
「あっ…!」
気づいて声を上げた頃にはもう遅く、そこはいつもの屋上だった。
私にとってお菊は唯一の友達。
…もうすこし話したかったな…。
しかし仕方ないので帰り支度を始めた。
