HRが終わり、休み時間になった。

「望!礼言いにいこうぜ!」

休み時間が始まって直ぐに雅人が来た。

「え?あぁ…うん」


正直乗り気じゃない。
さっきのことが頭の中でぐるぐる回ってる。

きっと、…二人には、なにか特別な関係が……

「?望、どうした?」

なかなか立ち上がらない俺を心配したんだろう。眉をハの字にして顔を覗き込んできた。

「…いや。なんでもねー。行くか」

まだ証拠が無い。雅人は気づかなかったみたいだし…もう少ししてから言うことにしよう。


そう決めて、席を立ち上がる。




「色町さん」



前の方からしてきたのは水沢先生の声。
どうやら色町に用があるらしい。

さっきのこともあって、俺は先生と色町のほうを見た。


「はい、どうしました?灯先生」


名前……

たまたまかもしれないのにそんな細かいことでさえ気になる。

「えぇ、少し…」



そこで会話は終わり二人は教室から出て行った。



「あー、まただめだったな…」

惜しそうに雅人が言う。

「あぁ…」


やっぱり、二人にはなにかある気がする。雅人よりも、二人のことが気になってしかたがなかった。
だから、無意識に教室を飛び出して二人の後を追った。