ふたりのガーディアン

イチャさんが、カップにノンアルコールのカクテルを注ぐ。


「じゃあ、乾杯しましょうか。

蒼甫、誕生日おめでとー」


「あざーっす」


カチンとマグカップをぶつけた。


「あたしなんかにお祝いされたんじゃ、嬉しくないわよねー。ごめんねぇ」


「そんなことないよ。ありがとう、イチャさん」


俺はカクテルを口にした。


ピンク色のカクテル。


甘ったるくて、少し酸味があって。


別にそんなにうまいとは思わなかった。


「なぁ、イチャさん。

俺、この前偶然優月に会ったんだ」


マグカップを見ていたら、優月のことを思い出してしまった。


「学校で?」


「ううん。洋平の店で」


「洋平って、コズミックの?」


「うん。

アイツ、洋平のおやじさんの店でアルバイトしてたんだ」


「そう…」


「アイツ受験生なのに、いつまでバイトする気なんだろうな」


居酒屋なんて危ないバイト。


もう辞めればいいのに…。