「薫さん。

薫さんは愛されてるんですよ。

無条件に。

だって、娘だから…」


そうだよ。


心配して、ここまで会いに来た薫さんのお父さん。


薫さんを愛しているんだ。


絶対そうだよ。


「薫さん。

もしかして薫さんは、人一倍お父さんのことが好きだったんじゃないんですか?

だから、自分の本当の父親じゃないって知って、ショックだったんじゃないんですか…?」


「え…?」


「好きだから、ショックだったんですよ。

好きだから、受け入れられなかったんですよ…」


薫さんの頬に涙が流れる。


はらはらと、すごく綺麗に…。


「薫さん、素直になってください。

お父さんが好きだって、認めてください。

そして、愛されてることも、信じてください。

そうしたら、薫さん。

もっともっと幸せになれます」


「優月ちゃん…」


私はスッと席を立った。


そして、床に膝をついた。