そうこうしているうちに、中間試験の発表があって。


私は発表中でも別に関係なく、バイトに通っていた。


「イチャさん。なんだか今日すごくルンルンですね」


「あら~?わかる~?」


事務所でスキップしてたら、誰でもわかると思うんだけどな。


「何かいいことがあったんですか?」


「うふふ~。そうなのよ~」


にっこり笑うイチャさん。


「実はね、重光監督からさっきお電話いただいたの。

今、映画の編集作業が順調に進んでるそうなんだけどね。

蒼甫のこと、すごく褒めてくださったの」


「そうなんですか…」


重光監督ってすごく厳しいって聞いていたけど、その監督が褒めてくださるなんて…。


「それでね、ここからがすごいのよ」


「…というと?」


「なんとね、来年製作予定の映画に、今度は蒼甫を主役に起用したいっておっしゃってくださったのーーー!」