ふたりのガーディアン

うぅぅ、奇妙だ…。


さっきからこの二人、何も話さないし。


いつも電車の中では手を繋がない蒼甫君が、今日は私の手を握って離さない。


シルバー色の髪の背の高いオシャレな洋平君に、帰宅途中の女子学生達が釘付けになっているし。


め、目立つ。


目立ち過ぎている…。


私は早く電車を降りたくて仕方がなかった。


私達は改札を出ると、イチャさんの事務所へと向かった。


洋平君を連れて行ったら、イチャさんはなんて言うだろう。


ライバル会社のモデルさんだよ?


きっとビックリするよね…。


どうしよう…。


うぅ~、胃が痛くなって来ちゃった…。


結局、事務所の前までひと言も話さなかった私達。


仕方なく私は事務所のドアに手をかけた。


「おはようございます」


事務所のドアが開くと、ムンと暖かい空気が廊下に漏れる。


イチャさんの甘い香水の香りと一緒に…。