ふたりのガーディアン

蒼甫君がいなくなったので、私は自然に瀬名君と一緒に滑るようになっていた。


「優月、結構上達早いね」


「瀬名君こそ」


私達はそれなりの傾斜から滑れるようになっていた。


初級コースは、明日にならないとリフトに乗れないらしいので、私と瀬名君はスキー板を担いで傾斜を歩いて登った。


「瀬名君、仕事大変?」


「うん。まあね」


「最近痩せたなって、ちょっと心配してたの」


「ちょっとだけ絞って来いって言われてさ」


「瀬名君もともと細いのに、それでも痩せなきゃいけないの?」


「まぁな」


「大変だね…」


瀬名君は笑っているけど、仕事楽しいのかな…。


薫さんとはどうなってるんだろう?


聞きたい事が沢山あるのに…。


「どうした?深刻な顔して」


「え?あ、うん…。あのね、ちょっと聞きたい事があって…」


「ん…?何?」


「瀬名君、薫さんとうまくいってる?」


瀬名君の表情が一瞬にして変わる。


「そんなの聞いてどうすんの?」


ちょっと低めの瀬名君の声に、私は戸惑ってしまった。


「ごめん…なさい」


私がそう言うと、瀬名君がハッと表情を変えた。


「俺こそごめん。冷たい言い方して…」


瀬名君、薫さんとのこと話したくないんだね…。


じゃあ私は何も聞けないよ…。


嘘をついている薫さん。


もしかしたら瀬名君は、騙されているかもしれない。


確かめたいのに、私には何も出来ないの…?