ふたりのガーディアン

初心者コースも、少しずつ傾斜での練習が増えていく。


私はよく転ぶのに、蒼甫君は全然転ばない。


私のスピードに合わせてくれるし、転んだら起こしてくれる。


「ちょっとキミ」


「え?俺?」


なぜかインストラクターさんに呼ばれる蒼甫君。


「ちょっとキミ。あそこから滑って見せてくれる?」


蒼甫君は言われるまま、緩やかな傾斜をスイスイと滑った。


私みたいに八の字じゃなくて、板は平行のまま。


止まり方もシャッと止まってカッコイイ。


「キミ、本当に初心者?」


「はい。今日が初めてです」


「キミ、ここにいたら物足りないと思うから、中級コースに行った方がいいよ。

担任の先生はあちらにいらっしゃるね。ちょっと待ってて」


そう言うとインストラクターさんは、先生のところへ行ってしまった。


「えー?俺、優月と同じ初心者コースでいいのに」


蒼甫君が口を尖らせる。


「おーい。先生の許可をいただいてきたよ。キミは中級に移ろう」


「えーっ!優月~」


そんなわけで、蒼甫君は半ば強制的に中級に移動させられてしまった。