ふたりのガーディアン

瀬名君の事を考えると、胸が鉛のように重くなる。


瀬名君のことを忘れられないって言ったあの時の薫さんの涙が、嘘だったなんて思えない。


どこまでが本当で、どこまでが嘘なの?


「優月。まだ考えてるの?」


読んでいた雑誌をベッドのサイドテーブルに置く蒼甫君。


「だって、どうして薫さんが嘘をついたのかがわからなくて」


私の言葉を聞いた蒼甫君が、ふぅとため息をつく。


「瀬名のことが心配なのはわかるけど。

俺と一緒にいること、忘れてない?」


「えっ?」


「あんまり瀬名の心配ばかりされると、正直妬けてくるんだけどな…」


「あ…」


いけない。


「ご、ごめんなさい」


私ったら、また…。


「それに今日はクリスマスイブだよ。

付き合う事になって初めての」


そうだった。


恋人同士にとって、クリスマスって大きな行事だったりするよね?


「だから、今は俺の事だけ見て」


蒼甫君が立ち上がって、ベッドに腰を下ろす。


すると、ギシッとベッドが音を立てた。


私の顔を真剣な目で見つめる蒼甫君。


整った綺麗な顔。


どの角度から見ても、本当に綺麗だ。


「俺の事だけ考えて」


蒼甫君を真っ直ぐに見つめながら、私はコクンと頷いた。