ふたりのガーディアン

「あれ?裕樹がいない」


トイレから出て来たら、竹内優月と神崎に続いて、裕樹を姿も見えなくなっていた。


「瀬名君なら、あそこにいるよ」


渋谷ってヤツが指を差す方向を見ると、2階から階段を下りる裕樹の姿が見えた。


気のせいか、やたら足取りが重いし、呆然としていないか?


どうしたんだろう?


「おい、裕樹。お前どうしたんだよ、浮かない顔して」


俺は階段の一番下に行って、裕樹に声をかけた。


「何しに2階に行ったんだよ」


「ん…、優月の顔色が悪かったから、ちょっと気になって……」


「は?」


竹内優月?


「なあ、裕樹。

竹内優月は神崎の女だろ?

なんかお前アイツの事、やたらと気にかけ過ぎてないか?」


さっきだって、すごい形相で俺のところに来たし。


「ちょっと疲れたな。俺、帰ろうかな」


「はっ?どうしたんだよ、急に」


2階で何があったんだよ。


何か変だな…。


「ごめん。俺、マジで帰る。洋平はどうする?」


「え?俺はまだいいけど…」


「じゃ、ごめん。先に帰るよ」


そう言うと裕樹は、みんなに挨拶をして本当に帰ってしまった。


う…、ワケがわからない。