ふたりのガーディアン

「えっ?なんだそれ?どういう意味だ?」


私はさっきの洋平君との話を蒼甫君に話した。


「私にもさっぱりわからないの。どちらかが嘘をついていることになるよね」


蒼甫君が眉間にシワを寄せて、考え込んでいる。


「洋平が嘘をついているとは思えないな。大体、嘘をつく意味がないじゃないか」


そうか…。


確かにそうだ。


「2年前って言ったら、俺らが中3の時だ。

確か薫さん、その頃瀬名の前から消えたんだよな」


「うん。クリスマスの前に、突然いなくなったって言ってた」


「まさか、会社を立ち上げるために…?」


「それで、瀬名君の前から姿を消したの?」


そんな…。


嘘だ。


そんなこと。


だって、薫さん妊娠したって。


だから、姿を消したって。


あれが全部嘘だったって言うの?


だとしたら、ひど過ぎる。


瀬名君が、かわいそう過ぎる。


「優月。手が震えてる」


「あ…」


「大丈夫だよ。何か理由があるんだよ。きっと大丈夫だから」


そう言って私の頭を撫でてくれる蒼甫君。


髪に優しく何度も触れるその手が、次第に頬へと移動していって。


蒼甫君の大きな手が、私の頬をすっぽり包んだ。


そのまま親指だけが、私の唇をなぞる。


上唇と下唇を交互に。


まるで私を誘惑するみたいに。


私の顔をじっと見つめる蒼甫君の瞳がなんだか色っぽくて、胸がドキドキと高鳴ってしまう。


その綺麗な顔が次第に近づいて来て…。


私の唇に、そっと唇が落とされた。




その時、ガチャッとドアが開く音がした。