ふたりのガーディアン

俺らは、吹き抜けの広い玄関へと移動した。


なんだってんだよ。


さっきからコイツ、やたら深刻そうな顔してやがる。


「薫さんは鈴木社長に誘われて、今年の夏に事務所に入ったんでしょう?」


「は?ちげーよ。
2年前にあの人、鈴木さんと一緒にあの事務所を立ち上げたんだよ」


「え?だって代表は鈴木さんってなってるじゃない」


「確かに共同経営ってわけじゃないし、このことを知ってるヤツってあんまりいねーけど、樋口さんは実際立ち上げに関わってんだよ」


「う…そでしょう?」


どうしたんだ?


なんでそんなショックな顔を?


「ウソじゃないよ。俺、今年の春に、樋口さんにスカウトされたんだから。もうその頃からいたはずだぞ?」


竹内優月が、呆然としている。


どうしたんだろう?ホントに。


顔色も悪いし。


「痛っ」


突然、竹内優月が左目を押さえる。


「どうしたんだよ」


「コンタクトがズレちゃったみたい。いたたー」


「はぁ~っ?お前、急に何やってんだよ。

ちょっ、見せてみろよ。

あっ、目の中で折れ曲がってるぞ」


「うそっ、どうしよう」


「ちょっとじっとしてろ。とってやるから」


もう、コイツ一体何なの?