ふたりのガーディアン

「私、本物のモデルを目の前で見たのは初めてだわ。

でも、実は毎日モデルに会ってたのね。

瀬名君ったら水くさいわよ。

モデルを始めた事、黙ってるなんて」


まぁそういうことすぐに言えるタイプと、そうでないタイプがいるからな。


「そう言えば9月くらいに、バイトを始めたって言ってたわね。彼女の仕事を手伝うって」


「えっ、彼女?裕樹の?」


「そうよ。年上の彼女がいるんでしょ?」


確かに年上とは聞いていたけど、仕事を手伝うってどういう意味だ?


9月って言ったら、アイツが事務所に入ってすぐの頃だ。


「甲斐さんだっけ?」


「静華でいいわよ」


「静華ちゃんはさ、裕樹の彼女に会ったことあるの?」


「残念だけどないわ。
蒼甫と優月ちゃんは、瀬名君の彼女に会った事があるみたいだけど」


神崎と付き人さんは、会った事があるのか。


ウチの事務所のスタッフと、裕樹が付き合ってる?


社長か?


いや、あの人は絶対違う。


年上の彼氏がいたはずだ。


じゃあ、一体誰だ?


「あ……」


俺はハッと目を見開いた。


そうだ、もう一人いるじゃねーか。


樋口さんが。


まじかよ…。


樋口さんと裕樹が?