そうだった…。


相手はイチャさんだもの…。


蒼甫君に送る視線がハンパじゃない。


「りんごジュースあるわよー。飲む~?」


「あ、はい。いただきます」


私はとりあえず、書類の整理を始めた。


イチャさんが、蒼甫君にジュースを運ぶ。


「神崎君だっけ?可愛い顔してるわねー。

背も高いし、スタイルも抜群にいいわ。

随分身体が鍛えられてるみたいだけど、何かしてるの?」


「あ、えっと。子供の頃からサーフィンを」


「あらまぁ!そうなの?ますますすごいじゃないのーっ」


私は思わず頭を抱えた。


「どこの事務所にも所属してないのよね?」


「え?事務所ってなんスか?」


「モデル事務所とか、タレント事務所とか」


「はぁ…。俺には無縁の世界っスね」


「えっ?そうなの?こんな逸材が残ってたなんてー。

ちょっと、優月ちゃん!あなたすごいじゃないのっ。

こんな素敵な彼がいたなんてーもうっ!」


そう言って、私の肩を叩くイチャさん。


あの…。


痛いです、今の。


腕っぷしは男性なんだから、手加減してくさだいよ…。