バイトが終わり、私達はおじさんの家へと帰った。


夕飯やお風呂を済ませ、私達はそれぞれテレビを見たり、宿題をしたり、リビングでのんびり過ごしていた。


その時だった。


ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。


みゆきさんが、パタパタと玄関に出て行く。


しばらくすると、何やら話し声が聞こえて来た。


「瀬名君ー。お客様よー」


あっ、薫さんが来たんだ!


瀬名君は『俺?』という顔をして、玄関へと向かった。


どうしよう。


大丈夫かな。





「何の用だよっ」


玄関から、瀬名君の怒鳴り声が響いて来る。


ま、まずい…。


「何しに、ここまで来たんだよっ」


瀬名君、すごく怒ってる。


説明しなきゃ。


「瀬名君、私が教えたの!」


私は玄関に飛び出した。


「優月?」


私の登場に、瀬名君がビックリしたように目を見開く。


「瀬名君。一度だけでいいから、薫さんときちんと話をして」


おせっかいかもしれないけど、昼間の薫さんの様子を見ていたら、とても見て見ぬフリなんか出来なかった。


「私が彼女に頼んだのよ。裕樹と話せる時間を作って欲しいって」


薫さんの言葉に、瀬名君は黙ったまま立ち尽くしている。