「私、裕樹ともう一度きちんと話し合いたいの。
どうか話をするチャンスを作ってもらえないかしら?」


「えぇっ?私がですか?」


思わず声を張り上げると、薫さんはコクンと頷いた。


何があったのかはわからないけど、薫さんが瀬名君の元を去ったのには、何か理由があったのかもしれない。


だけど、瀬名君は完全に薫さんを無視しているし、話し合おうにも話し合えないよね。


「明日には私、帰ってしまうの。
そうしたらもう、本当に二度と会えないわ。お願い…」


薫さんが真剣な瞳で私を見つめている。


本気…なんだ…。


「わ、わかりました」


私は、蒼甫君のおじさんの家を薫さんに教えた。


ここを訪ねて欲しいとだけ伝えて、急ぎ足で海の家へと戻った。