あと10秒。


その時の元木さんの行動を見て、私は言葉が出なかった。


ボタンの近くにいこうとする右手を必死に左手で抑えている。


分かってる。怖いんだよ。

みんな、死ぬのは怖いんだって。

自分の意思を曲げてしまいそうになる。

そんなこと分かってる。


その瞬間


ビーーーーーーーーー!

大きなブザーは鳴った。


「ボタンはセンタクサレマセンデシタ」

その声を来た時、元木さんは安心した顔をした。