まるで悪魔のような不気味な笑顔。
背筋が凍りつきそうだ。



「目的が無いのに人を殺めるのか?
何の罪もないんだ「何が罪がないだ!!!」


マハブリードの言葉に重ねるように叫んだ龍牙。

その深い緑色の瞳は複雑に少し揺れていた。



「罪がない………?

俺たちにしてきた事が罪がないといえるのか?
魔力のように変えられないもので奴隷のように差別され、闇に放り込まれた。

ただ、幸せを願っただけで、奴らは俺たちから大切なものを奪ったんだ。
黒薔薇の奴らは……!!!

そして俺たちが闇の中で必死に一日を生きようとする中で、お気楽に生きる
白薔薇の奴ら!!


本当はあんただって殺してやりたいのが山々だがなぁ、
王がいなくなるのはさすがにまずい、
世界をまとめるのは俺たちがする役目じゃあないからな。」


その瞳には憎いと映っていた。
何故助けられなかったのだろう?

こんなにも追い詰めて、本当の闇の中へと落としてしまった。



龍牙は鉄の塊をもう片方の手で撫でて話を続けた。



「これ、いいだろう?
あんたらはこれが何かなんてわからないだろうな、

これは、魔法じゃない。
鉄の玉を火薬で勢いよく飛ばすのだ。
俺たちが俺たちの手で自ら作ったのだ。
魔法なんかいらない、俺たちはお前らのような魔法なんかに頼りはしない。

魔法なんかいらないんだよ。
無能な奴らの時代は終わったんだ。」





違う、違う龍牙………。

何故、魔法をその鉄の塊の力が上回ったのかなんてーーー。


それは邪悪な心。
人々の心が魔法に勝ったのだ。

悲しい事だ。


世界を救いたいと願う神帝の力よりも、
神帝を滅ぼしたいという憎しみの心の方が打ち勝ってしまったのだ。

世界は内側から崩れてきていたのだ、知らないうちに、
見て見ぬふりをしているうちに。