吸血鬼に誘拐された場合。

私が少し引いた目をするとマニアさんは青筋を立てた。


「疑ってんじゃねーよ。いいか。お前が今いるこの世界は『魔界』だ。俺見てーな吸血鬼や悪魔がうじゃうじゃいんだよ。オラ、外見ろ」

カーテンを開けて外を見ると、高層ビルが立ち並ぶ大都会。





ではなく、テレビなどでよく見るヨーロッパの町並みが。


それよりも『ここどこやねん』とつっこむのも忘れるくらいびっくりなことが。


なんと朝っぱらから綺麗な女性の首筋を噛み血を飲むマニアさんと似た格好の人が。でも、今はそれよりも目移りする物が。

黒い翼に大きな角。明らかに人ではない物体が。


「俺は吸血鬼で、お前は人間。そしてここは魔界。わかったか」

「……は、い」

どうやら今の私には信じることしかできないらしい。


夢落ちとかじゃないかな…。