吸血鬼に誘拐された場合。

「……」


怖いお兄さんは無言で私たちの横を過ぎ去る。


一瞬、私のことを哀れな目で見て。


「ちょ、お兄さん…!?」


私が今の状況についていけないでいると、ギルが無言で家の中に入っていってしまった。すぐに、鍵を閉める音も聞こえた。


私は一人、外に取り残された状態。


置いていくのはよくないんじゃないかな!?精神的にくるんだけど!


さっきまで喧嘩してたじゃない!喧嘩を止めたことに感謝してもいいじゃない!

何で二人して私を虐めるのさ!大人としてどうなのよ!?


ちょっと調子に乗ったのは謝るからさ!

だから、だから!



「お願いだから、開けてくれませんかー!ギルさーん!…シカト?まさかのシカト?開けてー!……泣きそう」