花と緋色

あまりにも、優しい手。

自分には勿体無いくらいの評価。

なにも、できなかったというのに。

「なにも泣かなくっても……」
クラウジアはおろおろしている。
「だって、だって……」
その先は言えずに、クラウジアに抱きついた。
「なんにもしていないのに……ほめられるのはおかしいよ。」
「でも、がんばっただろう?」
「うん。」
「なら、それでいい。」
クラウジアは笑ってシエリアを撫でた。
「貴様になど期待はしてない。」
ヴォルフラムはあっさりと言う。
「出来ることしかやれと言わない。」
「ちなみに、これはフランなりの慰めだ。」
態と愛称を呼んで、クラウジアは誂う。
「煩い。もどるぞ。貴様も家に帰れ。」
「うん!」
シエリアは笑った。
「フラン、さん!じゃあねー!!」
「軽々しく呼ぶな。」
元気に挨拶して帰るシエリアにヴォルフラムが睨んだ。

それぞれの帰るべき場所に帰る。

明日から再び、平穏で愛おしい時間が始まる。

シエリアはそれを楽しみにしながら、クラリスと共に帰宅した。