「木山、帰ろ。」


「え!?先約があるんじゃ…」


先約と聞いて落胆していた悠晴は自分に帰ろうと言われて驚く。



「うん。木山の方が先に誘ってくれたでしょ。だから先約。」

「!」



和咲の先約とは悠晴と帰ることだった。



「なんだ、そっか…」



沈んでいた気持ちが浮き上がる。


「?なに?」


「え?ああ、何でもない。か、帰ろ。」



そして2人は一緒に帰っているのだが…



悠晴は緊張しすぎて何を話して良いのか分からない。


和咲は和咲で自分からは喋ろうとはしない。



だから必然的に2人とも無言。


なのに歩くスピードは不思議と同じである。