「一万…一倍……」

三連単、2−9−8。当たれば、100万100円。


……これやな。


誠は、すぐにマークシートに書き込むと、発券した。

『まもなく、レースがスタート致します』

近くにある大モニターから聞こえる声。その声に、何人かの客はモニターに集中した。誠は見るほどの事ではなく、レースが終わるのを待った。数分後、レースは終了した。誠は馬券を持って、換金所へ向かった。

「はい」

カウンターへ、馬券を渡す誠。そのとき、受付からとんでもない返事が返ってきた。

「……これ、ハズレ馬券ですよ」

「え?」

誠は、その言葉に耳を疑った。


……なんでや?そんなはずは…


誠は、掲示板に映し出された順位表を見た。


2−9−8。


確かに、合っている。

「え?2−9−8やろ?」

受付に言う誠。

「はい」

「じゃあ、当たってるやんけ!」

「よく、見てください」

と、誠の馬券をつきかえされた。

「あ……」

よく見ると、それは『2−8−9』になっていた。

「書き間違えた…」