「良かったぁ・・・」


 肩で息をしながら、彩はもう自分の足で立つ気力もない。
 屋上の鉄柵から中庭を見下ろして、諒は呟く。


「大騒ぎになってるな」


 ビクリとして、美樹は振り向いた。
 何が原因なのか分からない、いきなりの大惨事に、遠くからいくつものサイレンが聞こえてきている。


「あっ、友香!」


 呟いて、彩は立ち上がろうとする。
 だが諒に止められて。


「止めろ。動ける状態じゃねぇだろ」
「でも!」


 彩が何か言い返そうとした時、中庭から大音量で声が聞こえた。