「あっ、そうそう美樹。はいこれ」


 思い出したように彩はポケットから何かを取り出してカウンターに近寄ると、美樹にそれを手渡した。
 受け取ると、それはペンダントだった。
 おトキさんが持っていた桜貝が、ペンダントヘッドになっている。
 そう言えば、昨日彩がどうしてもというので、美樹は桜貝を彩に貸していた。
 そのまま部屋に引きこもっていたので、何をしているのかと思ったら。


「可愛い・・・彩が作ったの?」


 ご丁寧に、ヘッドの周りには小さなビーズまであしらわれている。
 彩は得意気に頷いた。


「可愛いだろ?」
「彩は料理は全くダメだけど、こういうちまちました作業は好きなんだよな」


 黙々と洗い物をしていた諒が言った。
 確かに、リビングに飾ってある2000ピースのジクソーパズルは、彩の力作だ。