彼女が今まで
視てきたもの
青い空
新緑の鮮やかさ
眩しい陽射し
魂に刻まれた
数々の思い出
生まれてから
眺めていた世界
彼女だけが知る景色
これから二人で
見るはずだった世界
あの世界は
全て消えてしまった
彼女の中から
少しずつ
崩壊してゆく世界…
『もう元には
戻らない』
時間と共に
一つずつ
泡のように
消えていくのが
怖い
まるで
何もなかったかの
ように
世界が
廻り続けているのが
怖い
──まだ憶えてる
──まだ思い出せる
それだけが
【糧】だった
俺
名取 大地
─ナトリダイチ─
17歳
彼女
安達 里茉
─アダチリマ─
25歳
羽根月
─俺と彼女の99日─