チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~


ゆっくりと目を開けた。涙が一筋、頬を伝う。

「…好きでいて、いいのかな。あたし…ホントは、ホントは彼のこと…好きになっちゃ、いけないのに…。こんなの…間違いなのに…」

いけないのに。佐倉さんを愛しちゃ。だって愛しても、誰も幸せになんかなれない。

『…いいんだよ』

でも。

『いいんだよ、チェリ。間違えたって、いいんだよ。いくら間違いでも…それでも、好きなんだろ?』

マモルの声が優しくあたしを撫でてくれた。優しく、優しく、あたしを包む。


好きなの、佐倉さん。

傷つくだけだって、いつかは止めなきゃいけないって、そう思うのにやっぱり好きで。

こんな愛間違ってる。わかってるのに、どうしようもなく好きで。

これが殺那的なものでもいい。それでもいいから愛して欲しい。

『…大丈夫だよ』

右耳に響くマモルの声。まるですぐ側にいる様で。

『誰が否定しても、俺だけは認めてるから。チェリの気持ち、認めてるから』