ギッと車が鳴る。佐倉さんの唇を感じながら、あたしはそっと瞼をおろした。
全神経を佐倉さんに集中させる。
ふいに耳に聞き慣れた音楽が入ってきた。
佐倉さんの動きも止まる。
あたしはゆっくりと目をあけて、それが何なのかを考えた。
考えなくてもわかる。ゴイステの『銀河鉄道の夜』。
マモル専用の着メロだ。
バイブと同時に鳴るそのメロディーを聞きながら、回らない思考回路で必死に考えた。
どうしよう。マモルからの電話だ。間違いない。
多分出なくても大して支障はない。切羽詰まった急用なんて、あたし達の間にはないんだし。
…でも、それでいいの?
あたしが話を聞いて欲しい時、声が聞きたい時、助けて欲しい時、マモルはいつでもそうしてくれた。
文句一つ言わずに、いつもあの優しい声で。
なのにあたしは、自分勝手な理由でこの電話に出ることを躊躇ってる。
最低だ。これじゃマモルをいいように利用してるだけじゃないか。
…でも。



