チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~


『いつか、見に来ればいいよ』

優しいマモルの声が届いた。
驚いて携帯を握り返す。

『きっと、綺麗だよ。今日なんかは多分、満点の星空だ』
「…そっかぁ…。そこからは、空見えないの?」

マモルは小さく笑って、『ちょっと見えないな』と呟いた。

あたしは「残念だね」と呟き、もう一度空に目をやった。

「いつか…見せてね。綺麗な空」
『…いいよ。誕生日プレゼントでね』

小さく笑って、「ありがとう」と呟く。
携帯の向こうでマモルも、同じように笑ってる気がした。

『じゃあ…そろそろ切るね』
「あ、うん。お休み」
『お休み』

電話を切って、充電器に繋ぐ。
気のせいかもしれないけど、マモルは少し元気がない様に感じた。

気のせいだと、いいけど。


ベッドから降りて、乾かしかけの髪を乾かそうとドライヤーに手を伸ばした。

瞬間、充電器の上で携帯が揺れる。

視線をやると、着信のランプがチカチカしているのが見えた。

…マモルかな。

何か言い忘れたことがあったのかもしれない。