チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~


……………

『チェリ、誕生日なんだね』

電話口の向こうから、マモルの優しい声が届いた。ご機嫌なあたしは笑顔で言う。

「そうっ。すっかり忘れてたんだけどね」
『なんかそれもチェリらしいかも』
「どういう意味~?」

そう言いながらも、顔は笑ってる。

「知恵…親友とその彼氏にね、赤いパンプスもらったんだ」
『パンプス?』
「他の皆からは受け狙いのバナナ抱き枕だったんだけど」

黄色いそれを抱き締めながら笑った。『バナナ抱き枕?』とマモルも笑う。

「ふたつとも超気に入ったんだ!マモルに見せたげたいな~」
『大丈夫、イメージわくから』

写メを送ろうと思ったが、そういえばマモルのアドレスを知らないことに気付いた。いつも電話だからさしてきにしたことがなかったのだ。

「あ、ねぇマモ…」
『お誕生日おめでとう』

ふいにあたしの言葉を遮ってマモルが言った。
驚いたが、でも素直に笑顔で返事をする。

「…ありがとう。18歳になっちゃったよ」
『じゃあ今は、1つ違いだね』
「マモルは誕生日いつなの?」
『俺?俺は12月』
「そっかー。じゃあまだまだだね」