チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~


……………

時間が時間なので、あたし達くらいの年の子がマックには沢山いた。

そんな中であたし達三人は、多分異様な空気を醸し出してたと思う。

いつもと同じ様に振る舞いたくても上手くできない。まるで、夢の中で走ってもなかなか速く走れない様な、そんな違和感ともどかしさ。

「…何してたの?今まで」

耐えきれなくなって口を開いたのは、春樹だった。
春樹でよかった。今、知恵の声を聞くのは辛い。

「…別に」
「別にって。メールしても電話しても連絡つかねぇし…俺達がどれだけ心配したかわかってんの?」

春樹はいつも素直だ。

素直にいつも、あたしに気持ちをぶつけてくれる。
心配したら心配したと言うし、怒る時だってちゃんと怒る。

時にそれは嬉しかったし、そしてたまに、眩しすぎた。

「…春樹には関係ないでしょ」

眩しすぎて、目が眩む。
目が眩んで、イライラする。

「関係ないって、」
「何?説教したいわけ?あたし今、そういう気分じゃないんだけど」

春樹が口をつぐんだ。こういう春樹は知ってる。多分、怒ってる。

本気で。