『いや…』
電話口の向こうから、マモルの苦笑が届く。
『同じ様なこと、言ってくれた人がいたんだ』
「え?」
『優しいって。俺の音楽は…優しいって』
マモルの声はどこか遠くて、それでいてどこか切なかった。
声だけしか聞こえないから、今マモルがどんな顔をしてるのかがわからない。
わからないから、何て言えばいいのかわからない。
『だから…その言葉、俺にとっては一番の誉め言葉だよ』
ありがとう、と言うマモルに、あたしは小さく微笑むしかなかった。
なんとなくそれは、"サクラ"さんの言葉なんじゃないかと思った。でも確証がないから言えない。
ねぇマモル。
マモルの中の"サクラ"さんは、もう過去の人?
それとも、まだ今でも?
あたしには何もできないのかな。
もし本当に宮川さんが"サクラ"さんなら、あたしはどうしたらいいの?
ねぇマモル。
マモルは今、笑ってる?
表情が見えないと、不安だよ。
傷付けてしまわないか、不安だよ。



