気付くと俺は夢の中にいた。

 大体いつも夢をみていると「あぁこれは夢だな」とわかってしまう。

 だから今日もしばらくといわずに自分が夢の中にいることに気付いた。

 そこは真っ白な世界で、何一つ景色というものが(影すらも)ない。

 ただただ白いものだからそこが広いのか狭いのかもわからず、けれどもそこに立っていたのでかろうじて地面があることはわかった。

 しばらくぼんやりとしていたけれど何も起こるような気配がないのでしかたなくその辺りを歩いてみることにする。

 やわらかいような、かたいような。

 不思議な感触が一歩踏み出すたびに足の裏から伝わってくる。

 裸足で歩いているから温度も感じることができるのだけれどこれまたあたたかいような冷たいような。

 音は一切なく、しいてするならば自分の呼吸音だけ。

 なぜかはわからないけれど歩く音は聴こえない。

 裸足で歩いているから音が出ないのだろうか?

 もしかすると革靴であれば音は出るかもしれない。

 とはいえここはそもそも夢の中。

 どんなことがあってもおかしくなどない世界。