誰でもそうだと思うのだけれども。

 じっ、と見つめられると食事というものはしにくいものだ。

 ましてや瞳にグロスでも塗りこんだのかっていうくらいにキラキラと輝かせて凝視されたんじゃ、そりゃぁ食べにくいことこの上ない。

 いや、それが見るからに美味しそうであるならばまだいいのだとは思う。

 もしくは逆に、見るからに不味そうであるならばまだいいのだとは思う。

 予想がつかない食べ物ほど怖いものは、ない。

 毒キノコで例えるならばいかにもな感じの毒々しさがあるやつじゃぁなくて、食用に間違えがちなやつ。

 ツキヨタケとかクサウラベニタケとかカキシメジだとか。

 あれ?

 俺なにか失礼なこといってる?

 いや、そうはいっても愛しの姫君がせっかく作ってくれたモノだ。

 口にしないわけにはいかないよ、ね……やっぱり。

「なぁ……これ──」

「玉子粥だよ! 一生懸命作ってみたの! 食べてみて!!」

 俺の質問に少々かぶせ気味に、なおかつ元気一杯に答えてくれるまゆみ。

 若干鼻息をあらくしながら、いやいや期待に満ち満ちて頬を上気させながら身を乗り出して俺が“それ”を口に運ぶのを今か今かと待ちわびている。

「そうか……玉子粥、か……」

「うん!!」