とまあ逸話についちゃことかかない。

 それが、ね。

 楽しいんだよ。

 自分でもお節介焼きなんだとは思う。

 でもな。

 そんな俺の言葉を彼女は真剣に聞き入っては最終的に自分の勘違いに、ぺろっ、と舌を出して恥ずかしげに頬を染めて笑うんだよ。

 それと、そういう単純な間違いとかじゃなくて価値観の違いから意見が衝突して口をきかなくなったりしたとき。

 まぁ俺も頑固なほうだから自分の意見を押し通すんだけど……。

 彼女は決まって怒ったそぶりをしながらこっちの機嫌をちらちらとうかがうんだ。

 で、決まって俺はこういう。

「なに?」

 でもって、決まって彼女もこういう。

「べ、別に、なにも!」

 無理に眉間にシワをよせて。

「う~……」

 とエプロンの端っこをくしゃくしゃしながら。

 俺が背中をみせるとそっぽ向いたまま視線だけこっちによこしたりなんかして。

 向き直るときに慌てて、しらじらしく「え、え~っとぉ」なんていいながらサラダに使うはずのないバターナイフを出したりしまったりしてんだからすぐにバレるっての。