夜と暗闇はまったくの別物なのだと、改めて思い知らされた。

 月明かりがすでに黒くなった緑であったはずの絨毯をおぼろげに照らす。

 白詰の花は柔らかな光を照り返して何かを導いているかのようだ。

 どうせならそれが目当てのモノを指し示してくれればいいのだが、残念なことに彼らは物言わずただおだやかに咲き誇っているだけ。

「ふぅ……」

 屈めていた腰をうんっ、と伸ばしてほぐす。

 腕時計はとっくに役に立たなくなってるから携帯で時間を確認……しようと思ったけれど充電せずに戻ってきたわけだから当然、いまだもって消灯中。

 そこで途中のコンビニで買った充電器をかちゃりこ、と挿し込む。

 ほどなくして携帯は元気を取り戻し、待受け画面を立ち上げると俺にまぶしい笑顔で時間を教えてくれた。

「……日付かわってるし」

 さすがにそんな時間にもなりゃ身体が冷える。

 幸運の女神はどうにも手厳しいらしい。