「……」

「あ、いきなりでごめん。実はあまりにいいできだったのはいいんだけどちょっと作りすぎちゃってさ」

 男はそういうと「にへへ」という人懐っこそうな笑顔を浮かべ──笑い顔のときは俺よか若くみえそうだな──再び扉の奥へと消えていった。

「真心の大きさってのはかえってくる愛情に正比例してくれんのかねぇ?」

 もしそうだとすりゃ彼が俺にこんなプレゼントをしてくれるようなことがあるはずもないからその公式は成立しない、か。

「ところで」

 てっきり引っ込んだかと思った男が扉から顔だけを覗けて質問を投げてよこす。

「冷蔵庫の中からっぽだから買出しいこうと思ってるんだけど、今日なにか特売してるかな? 僕のとってる新聞、スーパーのチラシ全然入ってないんだよね」

「今日は“豚コマ”が安かったと思いますよ?」

「そっかぁ。ありがとう」

 神頼みしたところで施しがあるはずもないわな、ホント……。