いいかげん思考がミミズ並みよろしく短絡的になり始めていたがそんなことを気にする許容疲労度はとうの昔に振り切れていた。

 肉体的にというよりも精神的につらい。

 暗い分目をこらすわけだけれども、それを長時間続けると当然のことながら目が疲れる。

 目が疲れるということは神経が疲れるということだ。

 ほら、あれだ。

 普段向かいやしない机で長時間参考書眺めてるとやたらと疲れるだろ?

 あれと一緒。

 しかしまぁこれも結局は新調したばかりのジーンズの膝を黒茶けた色で汚すにすぎず……、

「はぁ……」

 ひゅるり、と風が吹くと膝頭が妙に冷えた。

 膝が冷えて風邪でもひいた日にゃギネスに掲載されそうだな……そりゃないか。

 ローカル新聞にも載りゃしないくらいの、世間から見りゃちっぽけなちっぽけな話さ。

 ふぅ……。

 はらったところで落ちようとしない土に情けなさを感じつつ、俺は自宅に帰ることにした。