clover's mind

 そして深呼吸をひとつ。

「バイトは、ちょっと、な、抜けてきた」

「抜けて、って──」

「いいたいことがあるんだ!」

「え?」

 汗ばんだ身体に土手から吹き上げる風がここちいい。

 もう一度、深呼吸をした。

「正直なところ、俺はおまえがなんで不機嫌になってんのか、わからない」

「別に、不機嫌になんて──」

「うん。や、まぁそれはいいんだ」

「?」

 俺が何をいおうとしているのかがつかめないのだろう、小首をかしげるまゆみ。

「この前の──」

 そうさ、何もゴールへの道はひとつじゃない。

「アレは、間違いっていったけどな」

 うまい珈琲ってのはひとつってことも、ない。

「別に間違いってわけじゃなくてだ、な」

 アメリカンに、カフェ・オレ、エスプレッソにブランデー入りもありゃ飲むだけじゃなくてシフォンに混ぜたりゼリーにしたりと食べることで楽しむことだってある。

「ただ、俺のイメージしてた告白の仕方じゃなかった、ってだけのことなんだ」

「え……?」

 しわを一気にほどいて大きく目を見開くまゆみ。