俺はいろんなことにこだわっていた。

 気に入ったものにはとことん、妥協することなく、最高のものになるよう全力を尽くしてきた。

 それは俺が俺である証であるように思っていたんだ。

 そう信じて疑わなかったし、それが当然だという誇りにも似た考えを持っていた。

 でも、そうじゃなかったんだ。

 こだわるってのはそういうことじゃなかったんだ。


 そう──


 さっきまでの俺は、がんじがらめに自らを縛り付けて身動きが取れなくなっていたんだ。

 そうじゃぁない。

 それじゃぁダメなんだよ。

 そんなものは野菜を包んでおいたいつぞやの新聞紙にくるんで燃えるゴミの箱にぽいっ、てなもんだ。