なんにせよ、家を訪ねてみればわかるこった。

 今日も素敵に手入れの行き届いた庭をちらり、と覗いてみる。

 ふむ。

 休日には家族そろってバーベキューでもできそうなくらいの広さがあるおかげで家の中の会話は聞こえそうにない。

 まぁどのみち直接会わねばならぬわけで。

「ふっ──」

 と息をはいて腹をくくる。

 できればご近所さんから手当たりしだい勇気というやつを無利息で借りたいところだが、まぁそうもいかない。

「よしっ……」

 ぴるぴるさせながら指をインターホンに近付ける俺。

 アル中のやつと世界ぴるぴる選手権でタッグを組めば優勝間違いなしだ。

「ごめんくださ~い」

 こころなし声まで震えたような気がしたが緊張するなというのが無理な話だよな。

「はぁい。どちらさまでしょうか?」

 実はまゆみ本人がいきなり出てきたらどうしようかと内心びくびくしたが、応対に出たのはお母様の方だった。